「価値100倍!秋岡芳夫の精神を受け継ぐ時松辰夫の『山村クラフト』で地域活性化」



どんな木も生かす 山村クラフト
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工芸の新たな可能性を開く「山村クラフト」の発見


日本の山村地域が抱える課題に対し、時松辰夫氏は驚くべき方法で答えを見つけました。

その名も「山村クラフト」。

この技術は、林業の6次産業化を推進する新たなアプローチであり、木材を活かすクリエイティブな方法を提供しています。

本書は、地域の資源を最大限に活用し、持続可能な社会づくりに貢献する時松辰夫の理念と技法が集約されています。

読者は、彼の経験と方法を通じて、ただの廃材と見なされる木材がどのように価値あるクラフト作品へと変わるのかを知ることができます。

秋岡芳夫との出会い: 山村クラフトの原点


時松辰夫の歩みは、工業デザイナー秋岡芳夫との出会いから始まりました。

秋岡は、それまでの大量生産の時代に対抗するかのように、「工作を楽しむ心」を提唱しました。

この視点は、豊かな社会を平和に維持するための鍵とされています。

彼の影響を受けた時松氏は、地域の資源を活かしたコミュニティー生産方式を大切にするようになりました。

この考え方は、大野村での「一人一芸の村運動」など、地域を活性化する実践へと結びついていきます。

山村クラフトの最大の特徴は、その地域特有の材木や技術を生かしたオーダーメイドのコミュニティー生産方式です。

一般的な企業型生産や組合別生産とは一線を画し、地域固有の資源を活かし切ることに重きを置いています。

この章では、時松氏の背景と彼を導いた思想の根源を深掘りし、読者にその意義を伝えています。

地域で生まれた作品たち


山村クラフトは、地域で生まれる作品群がその真髄です。

時松辰夫氏によると、これらの作品は地域の資源を最大限に活かし、独特の魅力をもっています。

作品には、小径木や曲がり材、廃材、薪用材、樹皮など、多くの人々が価値を見出せなかった材料が活用されています。

それがどのように工芸品として生まれ変わるのか、次にご紹介します。

例えば、初期の山村クラフト作品では、単に日常の気づきや地域の生活に根ざした発想を形にしたものがあります。

また、伝統と現代技術の融合による作品は、見る人の心をつかんで離しません。

古くから受け継がれる手仕事と、最新技術の活用により、作品はさらに際立った魅力を持つようになります。

さらに、特定の農林漁家の営みを支援する作品や地域素材を活かしたものなど、計60作品にわたって多彩なクラフトを紹介します。

木工の技法が広げる可能性


山村クラフトで利用される木工技術の一つは「木工ろくろ」です。

この技術は、伝統的な匠の技と現代の加工技術が融合したもので、特に「プレポリマー木固め剤」という革新的な素材の使用が特徴です。

この材料は、木材の特性を損なわずに耐久性を増し、作品の価値を格段に高めるのに役立っています。

材料の入手方法や木材の乾燥、木取りのプロセスはもちろんのこと、半割丸太工法についても詳述されています。

この方法は、従来の価値観を覆し、どんな木材でも100倍の価値を生み出すことができるとされています。

また、これらの技法を駆使することで、長く愛用される器や道具を製作することが可能になります。

安全性と安心感を重要視した食器製作についても紹介されており、実践者にとって参考となる内容が詰まっています。

地域コミュニティとクラフトの結びつき


時松辰夫氏の「山村クラフト」は、単なる技術体系に留まらず、地域コミュニティの活性化を目指したものであることがよくわかります。

地域のデザインを考える際には、人の育成や社会的な関係性が重要になります。

人間の尊厳を守り、クラフトマンシップを大切にする姿勢を持つことが求められます。

また、作品の売り方もデザインの一部として捉えるべきとし、「商品」をただ生産するだけでなく、どのようにその魅力を伝えるかが鍵だと語ります。

時松氏は、地域との関係性、その中にあるデザインに焦点を当て、地元の資源を最大限に活かすクラフトの可能性を提示しています。

この章では、具体的なデザインのあり方や、地域資源を活用するための考え方が多角的に紹介されています。

山村クラフトの可能性と未来への展望


本書の中で語られる「山村クラフト」の思想は、ただの木工技術にとどまりません。

それは日本全国に広がりを見せ、さまざまな地域での活動や工芸作品の誕生を促しています。

時松辰夫氏が提唱するこの手法は、非常に実践的であり、林業を6次産業化するための新しい展望となっています。

この技法を学び、自らの地域に応用することで、未利用素材は創造的な価値を持つようになります。

これにより、地域社会が新たな形で発展し、次世代へと続く持続可能な社会の礎となります。

本書で紹介される数々の経験談と、成功した事例は、実践する人々への実用的なインスピレーションになります。

まとめとしては、時松辰夫氏の視点に立ち、持続可能な社会を築くための具体的なアクションを考えさせられる内容でした。

山村クラフトは、地域での価値あるもの、日々の小さな気づきを形にし、広げていくという視点を持つことで、その可能性を無限に広げて行くことができるというメッセージを強く伝えてくれます。




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2025年3月5日


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